健康と栄養

 
  HOME » 分子整合栄養医学について » 健康と栄養

なぜ糖質を控えるのか

糖質を控えましょう、と言われると「でも、糖質は脳の栄養でしょう?」「糖質は速やかにエネルギーになるから、朝は摂った方がいいって聞いたけれど」という疑問が起こるかもしれません。なぜ、あえて糖質を避ける必要があるのか、人類の歴史を基に考えて見ましょう。

人類の歴史の中で糖質が食文化に定着したのはごく最近のことです。
猿人が旧人に進化し、現在の私たちの祖先となる新人が誕生したのが100万年前。それから長い間、人類は狩猟と採集の生活を送ってきました。生活の糧となったのはおそらく肉や魚、貝、木の実などでしょう。農耕の文化が始まったのはずっと後の1万年前とされています。さらに砂糖を庶民が日常的に使用するようになったのはたった100年前のことです。つまり、私たちの体は遺伝的に長く過ごした狩猟と採集の食文化に合うよう作られているため、あえてご飯やパンで糖質をとる必要がないのです。必要な分の糖質は肉や魚からまかなうことができます。

女性で「抗生物質を飲むとカンジダになる」「カンジダ膣炎になりやすい」という人がいます。カンジダは私たちの身の回りによくいる菌の一種で、普段は悪さをしません。しかし、カンジダは糖分をえさにしているため、糖質過多の生活をしているとカンジダが増え、体調を崩したときや抗生物質の服用で腸内の善玉菌が死んでしまうと悪さをし始めるのです。腸は免疫機能の60%を担う人体最大の免疫器官です。しかも、腸は栄養素吸収の舞台でもありますから、カンジダが腸の粘膜を弱らせることが、いかに多くの疾患の原因となるかお分かりいただけるでしょう。「うつ」「アレルギー」「肥満」などのいわゆる現代病も、糖質過多が一因といえます。

また、狩猟と採集で得られた肉や魚、木の実などの主な構成成分がたんぱく質であることを考えると、たんぱく質が私たちの体にどれだけ重要な割合を占めているかは容易に想像がつくのではないでしょうか。

健康の基本はたんぱく質

人間の体は、水分を除くと70%がたんぱく質でつくられています。ところが「コレステロールは体に悪いからあまり肉を食べないほうがよい」「肉はダイエットの敵」などの誤った情報からたんぱく質が不足している人が多いのです。たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合して作られますが、このうち9種類は必須アミノ酸(注2)といって体内で合成する事ができないため、食事から補わなければなりません。しかも、この9種類のうち1つでも不足すると有効に活用されないため、必須アミノ酸をまんべんなくとる必要があります。よく必須アミノ酸は木の桶にたとえられます。桶が一ヶ所でも欠けていると、欠けた部分までしか水を汲むことができません。同様に、必須アミノ酸も、一種類でも摂取量が少ないアミノ酸があると、たとえ他が多くても最も摂取量の少ないアミノ酸の分しか働かないのです。

(注2 必須アミノ酸)トリプトファン・ロイシン・イソロイシン・バリン・スレオニン・フェニルアラニン・メチオニン・リジン・ヒスチジン

たんぱく質は、質と量を考えて摂る

食品中にどれだけ必須アミノ酸がバランスよく含まれているか表した指標を「プロテインスコア」といいます。プロテインスコアが100に近いほど必須アミノ酸がバランスよく含まれています。動物性たんぱく質はプロテインスコアが高く、卵のプロテインスコアは100です。大豆のプロテインスコアは56ですが、これはメチオニンという必須アミノ酸が少ないためです。それでは大豆はあまり良いたんぱく源ではないかというと、そんなことはありません。大豆と一緒にメチオニンの高い動物性食品を摂ることで、不足分を補う事ができます。例えば冷奴を食べるときに鰹節を添える。納豆に卵を入れるなどです。

重要なのはプロテインスコアだけではありません。たんぱく質を毎日どれだけとるかということも、同じく重要です。たんぱく質の必要量は体重1Kgあたり1日に1〜1.5gですので、体重50Kgの人なら一日50〜75gのたんぱく質が必要となります。たんぱく質は脂肪と違い、体に貯蔵しておくことができません。ですから、「昨日は沢山肉を食べたから今日は少なめでもいいかな」というわけにはいかないのです。さらに、たんぱく質は調理中に熱を加えることで半分が壊れてしまいます。それを考えると結構な量を食べなければならないことがお分かりでしょう。
例えば、牛肉100gには約20g\のたんぱく質が含まれていますが、牛肉のプロテインスコアは80ですので、この時点で有効利用されるのは20gのうちの80%、すなわち16gということになります。さらに調理によって半分損なわれますので、最終的に有効利用されるたんぱく質は8gにまで減ってしまうのです。

牛肉100g→たんぱく質20g×プロテインスコア0.8×調理による損失1/2=8g

(いろいろな食べ物に含まれるたんぱく質の量)
卵(加熱)→3.3g
鯵塩焼き→3.5g
冷奴半丁→6.6g
牛乳200cc→5.8g
納豆1パック→4.6g

| HOME | アンチエイジング | メタボリックシンドローム | 性病検査 | サイト監修 | リンク |
| 便秘 | 食品添加物 | 有害ミネラル |柔軟性の低下 | 筋力の低下 | 睡眠不足 | 活性酸素 |